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ロジャース基板のインピーダンス計算:Design DkとProcess Dkのどちらを使うか

設計ガイド2026-11-05SKPCB技術チーム
ロジャース基板のインピーダンス計算:Design DkとProcess Dkのどちらを使うか

Rogers材を選定したら、次は層構成とインピーダンス計算です。データシートには Process Dk と Design Dk の2つの比誘電率が載っています。同じ材料でも値が異なることが多く、通常は Design Dk の方が高い値です。どちらを計算ツールに入れるかで配線幅が決まり、完成基板の TDR 実測値が目標に乗るか、全体的にずれるかも決まります。

このずれは系統的です。同じロットのすべての基板、同じ種類のすべての配線が同じ方向にずれます。原因は多くの場合、基板メーカーのエッチングやプレスではありません。設計で使った Dk と、メーカーが検証に使う Dk の基準が一致していないことにあります。

2つの Dk はどこから来るか

違いは材料ではなく測定方法にあります。

  • Process Dk:IPC-TM-650 2.5.5.5 のクランプドストリップライン法で、加工前の積層板を規定周波数で測定した値です。用途は積層板製造の品質管理、つまりロット間のばらつきや規格内かどうかの確認です。
  • Design Dk:Rogers がマイクロストリップ線路の差動位相長法で、回路として加工したサンプルを周波数範囲にわたって測定した値です。銅箔の表面粗さを含む実際の導体の影響を含むため、回路が実際に受ける実効比誘電率に近い値になります。

Rogers 自身も、回路設計には Design Dk を使うよう推奨しています。Process Dk は誤ったデータではなく、別の問いに答える値です。

Design Dk が高くなる理由

銅箔は平滑ではありません。電解銅箔にも反転処理銅箔にも一定の粗さがあります。高周波では電流が導体表面の表皮深さに集中し、粗い表面は電流経路を長くして位相を遅らせます。これが実効 Dk の上昇として現れます。ストリップライン法はこの効果を含まないため、Process Dk は低めに出ます。

設計上の帰結は2つです。

  1. 銅箔の種類で実効 Dk が変わる:同じ積層板でも銅箔の粗さが違えば Design Dk が変わり得ます。データシートの Design Dk は特定の銅箔に対応しているため、層構成図に銅箔の種類を明記します。書かなければメーカーは標準銅箔で手配する可能性があります。
  2. 誘電体が薄いほど影響が大きい:薄い誘電体では電界に占める導体表面の割合が大きくなります。薄いコアと細線の組み合わせでは、Process Dk と Design Dk の差がインピーダンスに与える影響が大きくなります。

銅箔粗さが挿入損失に与える影響は 高周波基板の銅箔粗さと挿入損失 で扱っています。本記事では Dk とインピーダンスへの影響だけを扱います。

周波数:データシートのどの値を使うか

Dk は周波数によって変わります。Rogers は Design Dk を周波数範囲の数値や曲線で示すことが一般的です。インピーダンス計算には回路の動作周波数に近い値を使い、データシート1ページ目の単一の数値をそのまま使わないようにします。

広帯域の回路では、計算に使った周波数と、複数の周波数で確認したかどうかを層構成図に記載します。そうすればメーカーの逆算も同じ周波数で行われます。

プレス後の誘電体厚はデータシートの厚さではない

インピーダンスは誘電体厚に敏感で、Dk 以上に敏感なことも少なくありません。完成後の誘電体厚は次の要素で決まります。

  • コア厚:Rogers のコアにも厚さ公差があります。計算は公称値で行いますが、公差ゼロではありません。
  • ボンドプライ/プリプレグ:Rogers 多層や FR-4 とのハイブリッド構成では、接着層がプレス中に流動し、最終厚さは隣接層の残銅率で変わります。接着層の Dk もコアとは異なります。
  • 銅厚:外層のめっき後の仕上がり銅厚は、配線断面とフリンジ電界を変えます。

したがって計算では、コアには Design Dk、接着層には接着材自身の Dk、誘電体厚にはプレス後の厚さを使います。この3つは通常、メーカーが自社のプレスデータで逆算して確認する必要があります。ハイブリッド構成の工程上の制約は 異種材料ハイブリッド積層とプレス を参照してください。

層構成図に書くべき項目

層構成図は、設計者とメーカーが基準を合わせる唯一の文書です。インピーダンスに関しては少なくとも次を記載します。

項目書き方
材料品番と厚さ(例:所定厚さの RO4350B コア)、同等品の可否
銅箔銅厚と銅箔の種類(特定の粗さを前提に計算した場合)
計算に使った Dk値、出所(Design Dk/Process Dk)、周波数、データシートの版
接着層材料品番、計算に使った Dk、プレス後の厚さ
インピーダンス配線層、参照層、目標インピーダンス、公差、シングルエンド/差動
検証方法クーポンの位置と TDR 測定の要求

最も抜けやすいのは Dk の出所です。数値だけでは、それが Process Dk か Design Dk かメーカーには判断できません。メーカーが別の値で逆算して配線幅を調整すると、双方が相手の計算ミスだと考える結果になります。

メーカーに自社のプレスデータで配線幅を調整してインピーダンスを合わせてもらう場合は、何をどの範囲まで調整してよいかを図面に明記します。例えば「配線幅のみ調整可、誘電体厚は変更不可」とします。

検証:TDR と原因追跡の順序

完成基板のインピーダンスは、インピーダンスクーポンを TDR(時間領域反射法)で測定して検証します。クーポンは基板内の配線と同じ層・参照層・線幅で作られ、物理構造の実際のインピーダンスを測ります。クーポン設計と成績書の読み方は テストクーポンによる特性インピーダンス検証 を参照してください。

実測値が全体的に目標からずれた場合は、次の順で追跡します。

  1. 計算基準:設計計算とメーカーの逆算が、同じ出所・同じ周波数の Dk を使っているか。系統的なずれの最も多い原因です。
  2. 誘電体厚:断面観察でプレス後の厚さを測り、計算の前提と比べます。
  3. 線幅と銅厚:仕上がりの上幅・下幅と銅厚を測ります。
  4. 測定条件:TDR の立ち上がり時間と測定ウィンドウの位置が取り決めどおりか確認します。

これらを除外して初めて、積層板ロットの異常を疑う段階になります。

SKPCB の高周波・インピーダンス対応

  • 高周波材料:Rogers 4350B、4003C、3003、Arlon 85N、Taconic RF-35(MAT-RF)。
  • インピーダンス公差:標準 ±10%、高精度 ±5%(PCB-IMPEDANCE)。
  • 全注文で 100% 電気検査(Q-ETEST)。

公差クラスの選び方は インピーダンス制御の公差クラス、Rogers 各シリーズの穴あけ・めっき・プレスの違いは Rogers RO4000 と RO3000 の加工の違い を参照してください。層構成のレビューが必要な場合は、見積ページ から層構成図とインピーダンス要求を送付いただけます。高周波基板 と 材料 もご覧ください。

まとめ

  • 回路設計には Design Dk を使う。Process Dk は積層板の品質管理用。
  • 銅箔の種類、周波数、接着層、プレス後の厚さは計算結果を変えるため、層構成図に記載する。
  • Dk の出所と周波数を明記すれば、メーカーは同じ基準で逆算できる。
  • 実測がずれたら、まず計算基準、次に厚さ・線幅・測定条件を確認する。

セルフチェック

  • 既存記事との重複:FR-4/Rogers の記事は材料選定、RO4000/RO3000 の記事は加工差、銅箔粗さの記事は損失、クーポンの記事はクーポンを扱う。本記事はインピーダンス計算の Dk 選択と基準合わせのみを扱い、関連テーマは内部リンクで案内。
  • 当日の PCB168:brief 未生成。本記事は技術記事で、RFQ チェックリストではない。
  • キーワードは title、description、H1、本文に自然に出現し、詰め込みなし。
  • 事実:SKPCB の数値は CLAIM で検証済みの項目のみ。Dk/Df の数値、事例、納期は記載なし。
  • リンク:/ja/ リンク 9 件、すべて out/ja/ に存在。industries へのリンクなし。
  • FAQ と本文の整合:6 問すべて本文の節に対応。
  • 日本語:ネイティブ校閲が必要(REVIEW_REQUIRED)。

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FAQ

Q:Rogers のインピーダンス計算には Process Dk と Design Dk のどちらを使いますか?

A:Design Dk です。回路サンプルで測定され、銅箔粗さの影響を含むため、回路の実際の挙動に近い値です。Process Dk は積層板製造の品質管理に使われます。

Q:なぜ Design Dk は Process Dk より高いのですか?

A:測定方法が違うためです。Design Dk の測定には実際の導体が含まれ、粗い銅箔が高周波電流の経路を長くし位相を遅らせるため、実効 Dk が高く出ます。ストリップライン法はこの効果を含みません。

Q:データシートに Dk が1つしかない場合は?

A:その値の測定方法と周波数を確認します。確認できない場合は、使った値と出所を層構成図に記載し、メーカーにプレスデータからの逆算で確認を依頼します。

Q:銅箔を変えると Dk は変わりますか?

A:実効 Dk は変わります。特に薄い誘電体で顕著です。データシートの Design Dk は特定の銅箔に対応しているため、銅箔の種類を図面に明記します。

Q:インピーダンスを合わせるためにメーカーが線幅を調整してもよいですか?

A:取り決めれば可能です。調整してよい項目と範囲を図面に書きます。例えば線幅のみ調整可、誘電体厚は変更不可とします。

Q:TDR 実測が全体的に高い、または低い場合、最初に何を確認しますか?

A:設計とメーカーが同じ出所・同じ周波数の Dk を使ったかを確認します。次にプレス後の誘電体厚、仕上がり線幅と銅厚、TDR 測定条件を確認します。

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この材料選定を量産視点で検証しますか?

高周波基材の選定はインピーダンスと損失を左右します。積層構成・Dk/Df・プレス条件を確認し、代替材もご提案します。