FR-4 のレイアウトをセラミック基板に移すとき、回路そのものはあまり変わりません。変わるのは製造データです。ルーター外形、機械ドリル、V カット面付け、多層積層は、セラミックではできないか、別の工法に置き換わります。FR-4 の習慣のまま作った Gerber を出すと、技術確認が何往復も続くか、外形や穴がメーカーの標準仕様で修正されることになります。
本記事が扱うのは一点です。セラミック基板の設計データで、どのパラメータを書き換え、どれを出図前にメーカーと確認すべきか。材料と工法の選定(Al2O3 と AlN、DPC と DBC)はセラミック基板の材料と DPC/DBC 工法、穴加工と個片化の詳細はセラミック基板の穴加工と個片化の制約を参照してください。
最初に決める二つ:基材とメタライズ工法
セラミック基板の設計ルールは一枚の共通表ではありません。次の二つの選択で決まります。
- 基材:Al2O3(アルミナ)または AlN(窒化アルミ)。SKPCB の製品ページには Si3N4 も記載しています。基材が選べる厚さ、熱特性、脆さを決めます。
- メタライズ工法:DPC(スパッタでシード層を形成し電解めっきで厚付け、フォトリソでパターン形成)または DBC(銅箔を高温でセラミックに直接接合し、エッチングでパターン形成)。
DPC では余裕のあるライン/スペースでも、厚銅の DBC では実現できないことがあります。製造指示の一行目には「基材+メタライズ工法+銅厚」を書いてください。これがないと、他のルールに基準がありません。
外形:ルーターはなく、レーザーだけ
FR-4 の外形はルーターの加工経路で、内角 R はルーター径で決まり、異形でも追加コストは小さめです。焼結後のセラミックは硬く脆いため、外形は通常レーザーでスクライブして割るか、レーザーで切断します。設計入力は次のように変わります。
- 外形レイヤーで「スクライブ」と「切断」を分ける。 スクライブ線は端から端まで直線で、矩形の個片に向きます。円弧、切り欠き、内部の抜きはレーザー切断が必要で、加工時間が長くなります。
- 内角 R を指定する。 鋭い内角はセラミックの割れの起点です。ルーター径のデフォルトを流用せず、図面に R の要求を書きます。
- 銅を基板端から離す。 スクライブして割った端面はルーター加工ほどきれいではなく、端まである銅は個片化時に欠けたり浮いたりします。後退量は FR-4 の値を流用せず、メーカーに確認してください。
- 板厚は標準規格から選ぶ。 セラミック基板は決まった厚さで供給され、FR-4 のようにプリプレグの組み合わせで任意の厚さを作れません。機構設計を固める前に、選べる厚さの一覧を入手します。
穴:レーザー穴はテーパー、DBC は通常スルーホールなし
FR-4 では穴は最も安い要素です。セラミックでは、穴は焼結前に成形するか焼結後にレーザーで開けるかのどちらかで、いずれも機械ドリルより制約が大きくなります。
- 穴径には板厚に対する下限がある。 レーザー穴はテーパー状で、入口が大きく出口が小さくなります。穴径が入口か出口かを、ドリルデータか図面で明記します。
- DPC のビアはめっきで充填する。 完全充填か壁面めっきのみか、表面の平坦性が必要かによって、ビア上にパッドを置けるかが決まります。データに書いてください。
- DBC は通常、めっきスルーホールを持たない。 表裏の銅は独立しています。FR-4 設計がビアで表裏を接続している場合、DBC では片面配線にするか DPC に変更します。
- 取付穴と異形穴もレーザーで加工し、同じく欠けのリスクがあります。穴–銅、穴–基板端の距離は、メーカーが確認した値まで広げます。
導体:ライン/スペースは銅厚で決まる
FR-4 では多くの設計者がまずライン/スペースを決め、それから 1oz か 2oz を選びます。セラミックでは順序が逆です。先に銅厚を決め、その銅厚で可能な最小ライン/スペースを確認します。
- DPC:銅はめっきで厚付けし、フォトリソでパターン形成するため細線に向きます。銅が厚いほどサイドエッチと線幅のばらつきが大きくなります。
- DBC:銅箔は最初から厚く、エッチングでパターンを作るため、最小スペースは銅厚に直結します。細線能力は DPC より明らかに劣ります。DBC は大電流のパワー回路向きで、高密度の信号配線には向きません。
- 広い銅面には応力緩和ルールが必要。 銅とセラミックは熱膨張が大きく異なり、ベタ銅は熱サイクルでセラミックに応力をかけます。銅面を分割するか、表裏の銅面積をそろえるかを、メーカーと確認してください。
具体的なライン/スペースの値は、指定した基材・工法・銅厚に対するメーカーの能力で決まります。重要なネット(大電流経路、ボンディング領域、細線領域)はデータ上で別に示し、メーカーが一つずつ確認できるようにします。
層数と表面処理
- 層数:FR-4 は多層積層で配線密度を確保します。標準的な DPC/DBC セラミック基板は片面または両面がほとんどです。元の設計が 4 層以上なら、両面に集約できるか、別の基板が適するかを先に検討します。
- ソルダーレジスト:セラミック基板はレジストなし、または部分的なレジストのみのことが多くあります。ブリッジ防止をレジストに頼るファインピッチパッドは、レジストの可否、色、厚さを事前に確認します。
- 表面処理:ワイヤーボンディング(金線・アルミ線)、はんだ付け、銀焼結はそれぞれ表面処理の要求が異なります。基板全体に一種類と書くのではなく、「ボンディング領域/はんだ付け領域」のように領域ごとに指定します。
面付け:V カットはなく、ブリッジも設計し直す
FR-4 の面付けは V カットかミシン目ブリッジが一般的です。セラミックに V カットはありません。代わりにレーザースクライブして割るか、レーザー切断して保持ブリッジでつなぎます。
- 個片間の間隔はスクライブ線または切断幅を考慮する必要があり、FR-4 のゼロ間隔 V カット面付けはそのまま使えません。
- 捨て基板、ツーリング穴、フィデューシャルマークは、セラミック母材の規格サイズに合わせて配置し直します。母材サイズは入荷する基材の規格で決まります。
- 実装で面付けのままリフローしてから個片化する場合は、その旨を伝えてください。メーカーはそれに合わせてスクライブ深さやブリッジ形状を選びます。
メーカーへ渡すデータのチェックリスト
| 項目 | FR-4 の習慣 | セラミック基板で追加する内容 |
|---|---|---|
| 材料 | 基材品番+板厚 | 基材(Al2O3/AlN)+メタライズ工法(DPC/DBC)+銅厚 |
| 外形 | ルーター経路 | スクライブ/切断の区別、内角 R、銅–基板端距離 |
| 穴 | ドリル表 | 入口/出口径の定義、充填の有無、穴–基板端距離 |
| 導体 | ライン/スペース | 銅厚に対して確認した最小値、銅面の応力緩和 |
| 表面処理 | 一種類 | 領域ごとの指定:ボンディング/はんだ付け |
| 面付け | V カット/ブリッジ | スクライブ・切断の間隔、母材サイズ、個片化のタイミング |
この表は見積依頼の資料にそのまま添付できます。埋まっている項目が多いほど、技術確認の往復が減ります。
SKPCB のセラミック基板製造
SKPCB のセラミック基板製品ページでは、選べる基材として Al2O3、AlN、Si3N4 を記載しています。板厚、ライン/スペース、穴径の対応範囲は案件ごとに技術レビューで確認します。上記の情報と Gerber を見積ページから送付してください。
まとめ
FR-4 からセラミックへ移るとき、回路はたいてい変わらず、変わるのは製造データです。外形はレーザー加工の前提で書き、穴はテーパーと充填方法で定義し直し、ライン/スペースは銅厚に対して確認し、面付けは V カットをやめます。一行目に「基材+メタライズ工法+銅厚」を書けば、他のパラメータすべてに基準ができます。
自己チェック
- 既存記事との区別:材料・工法比較、穴加工・個片化、密着性検証はリンクで参照し、繰り返していない。本記事は FR-4 からの移行時のデータ入力のみ。
- 当日 brief:slot 1 は Rogers インピーダンス Dk、slot 3 は図面公差で、核心の問いは重ならない。PCB168 の当日 brief は未作成。
- 事実:SKPCB のセラミック数値能力は記載していない。基材名は製品ページから。
- リンク:
/ja/リンク 7 件、すべてout/ja/に存在。industries へのリンクなし。 - FAQ 6 問は本文の各節に対応。キーワードは自然に使用。
- 日本語ネイティブ校閲が必要(REVIEW_REQUIRED)。
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FAQ
Q:FR-4 の Gerber をそのままセラミック基板に使えますか?
A:銅パターン層は多くの場合そのまま使えます。外形、ドリル、面付け、表面処理の情報はセラミック工法に合わせて補足が必要です。補足がなければ、メーカーは標準仕様で対応するしかありません。
Q:DPC と DBC の選択で設計ルールは大きく変わりますか?
A:大きく変わります。DPC は細線とビアに向き、DBC は厚銅・大電流に向きますが細線能力が低く、通常めっきビアはありません。先に工法を決め、その後にルールを決めます。
Q:矩形以外の外形は可能ですか?
A:レーザー切断で可能です。直線の矩形外形はスクライブして割るだけなので簡単です。異形は加工時間が長くなり、内角には R が必要です。
Q:セラミック基板で多層はできますか?
A:標準的な DPC/DBC は片面または両面がほとんどです。多層が必要な場合はメーカーと個別に検討します。
Q:セラミック基板にソルダーレジストは必要ですか?
A:レジストなし、または部分的にのみ使う基板が多くあります。ファインピッチパッド間にレジストが必要な設計は、事前に可否を確認してください。
Q:見積に最低限必要な情報は何ですか?
A:基材、メタライズ工法、銅厚、板厚、外形加工方法、穴の定義、領域ごとの表面処理、面付け方法です。上の表をチェックリストとして使えます。

