FR-4で放熱しきれない場合、候補は通常、アルミIMS(絶縁金属基板)、銅ベース基板、セラミック基板の3つです。いずれも部品からヒートシンクへ熱を逃がしますが、熱の通り道が異なり、それぞれを制限する条件も異なります。熱伝導率1つを比べるより、条件を1つずつ確認し、どの候補が先に外れるかを見る方が確実です。
3種類の基板の構造
| 項目 | アルミIMS | 銅ベース | セラミック |
|---|---|---|---|
| 構造 | 銅箔/樹脂絶縁層/アルミ板 | 銅箔/樹脂絶縁層/銅板。放熱パッドを銅ベースに直接つなぐ台座構造もある | Al₂O₃、AlN、Si₃N₄上に金属層を直接形成 |
| 熱のボトルネック | 樹脂絶縁層 | 樹脂絶縁層(台座構造では迂回) | セラミック自体とはんだ界面 |
| 絶縁方式 | 絶縁層の厚さと材料 | アルミと同じ。台座部ではパッドがベースと同電位 | セラミック本体が絶縁 |
| シリコンとのCTE整合 | 不良 | 不良 | 良好。AlN、Si₃N₄はシリコンに近い |
| 外形加工 | ルーター、プレス、Vカット | ルーター。工具摩耗はアルミより大きい | 脆いためダイシングまたはレーザー |
| 相対コスト | 低 | 中 | 高 |
アルミと銅の加工・実装上の違いは メタルコア基板:アルミか銅か を参照してください。
条件1:熱流密度
まず部品パッド直下の熱流密度、つまり消費電力をパッド面積で割った値を求めます。基板全体の電力ではありません。LEDバーのように熱が広い面積に分散する場合、熱は銅箔内で横に広がってから絶縁層を通るため、アルミIMSで足りることが多くなります。大電力ダイ1個や密集したパワー部品では熱が集中し、樹脂絶縁層が主な熱抵抗になります。高熱伝導の絶縁層に替えても、データシートから期待するほど温度は下がりません。理由は 高熱伝導アルミ基板の熱抵抗チェーン で説明しています。
熱が集中する場合の選択肢は2つです。銅ベースの台座構造は放熱パッドを金属ベースに直接はんだ付けし、絶縁層を迂回します。セラミック基板は樹脂層そのものをなくします。
条件2:絶縁耐圧
アルミベースと銅ベースでは、絶縁はすべて樹脂層が担います。耐圧要求が高いほど絶縁層は厚くなり、熱抵抗も大きくなります。放熱と絶縁が同じ層で競合します。銅の台座構造では放熱パッドがベースと同電位になるため、部品の放熱パッドが非接続か接地してよい場合に限られます。
セラミックでは基板本体が絶縁するため、耐圧と放熱が1つの層で競合しません。高電圧のパワーモジュールでセラミックが多く使われるのはこのためです。耐圧試験に必要な条件は メタルベース基板の耐圧試験で伝えるべき条件 にまとめています。
条件3:CTE整合と熱サイクル
アルミと銅は、シリコンダイやセラミックパッケージよりはるかに大きく膨張します。小型部品で接合部に柔軟性があれば問題は小さいですが、ベアダイ実装、大型セラミックパッケージ、厳しい温度サイクルでは、はんだ層に疲労が蓄積します。こうした用途では、銅ベースが熱抵抗を満たしても、サイクル寿命でセラミックに切り替えることがあります。セラミック内部での選択(Al₂O₃かAlNか、DPCかDBCか)は セラミック基板の選定 を参照してください。
条件4:サイズ・外形・層数
アルミは長尺や大判に対応でき、Vカットで面付けできるため、照明や電源に向きます。銅ベースは重量と材料費が大きく、サイズが大きいほど差が広がります。セラミックは脆く、外形と穴はダイシングかレーザーで加工し、基板サイズはセラミック板で制限され、機械的荷重がかかる取付部には向きません。
除外の順序
- チップレベルのCTE整合または高耐圧が必要で、熱が集中する:まずセラミックを検討。
- 熱が集中し、放熱パッドがベースと同電位でよい:銅ベース台座構造を検討。
- 熱が分散し、長尺・大判、コスト重視:アルミIMSを検討。
- アルミでも温度が下がらない場合は、銅ベースと高熱伝導絶縁層を比較し、どちらも実測熱抵抗で確認。
見積時に伝える条件
- 部品の消費電力、放熱パッド寸法、許容ジャンクション温度またはパッド温度
- 耐圧要求と試験条件、放熱パッドを接地してよいか
- 熱サイクルまたはパワーサイクルの温度範囲と回数
- 基板サイズ、外形加工方法、取付方法、ヒートシンク接触面の平面度
- 層数、銅厚、表面処理
SKPCBの対応
SKPCBはエンジニアリング確認の段階で、これらの条件に照らして基板種類、絶縁層、銅厚、外形加工方法を確認します。各基板の対応範囲は メタルコア基板、アルミ基板、セラミック基板 の製品ページに掲載しています。条件がそろえば お見積り からご依頼いただけます。
まとめ
熱が分散するならアルミIMS、集中するなら銅台座かセラミック、高耐圧とチップレベルのCTE整合が必要ならセラミックです。熱伝導率は数値の1つにすぎません。熱流密度・耐圧・CTE・加工で候補を絞り込み、残った候補を比較してください。
自己チェック
- 既存記事との重複:アルミ対銅、セラミック内部の選定、アルミの熱抵抗チェーンの3記事がそれぞれ1層を扱う。本記事は3種類をまたぐ最初の絞り込みのみで、詳細は内部リンクで案内。
- 同日他スロット:slot 1は断面観察、slot 2は内部ルーター加工。核心の問いとカバー画像が異なる。
- キーワード:「放熱基板」「アルミIMS」「銅ベース」「セラミック」をtitle・description・H1・本文に自然に配置。
- 事実:熱伝導率、電圧、厚さ、サイズの数値は記載なし。SKPCB情報は製品ページへのリンクのみ。
- 内部リンク:
/ja/のリンク先7種(製品ページ3、quote、ブログ3本)すべてout/ja/で確認済み。industriesリンクなし。 - FAQと本文の一致:6問すべて本文の節に対応。
- 日本語はネイティブ校閲が必要(REVIEW_REQUIRED)。
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FAQ
Q:高熱伝導の絶縁層にすれば、温度は比例して下がりますか?
A:いいえ。温度上昇は熱抵抗チェーン全体で決まり、熱が分散する場合は絶縁層が最大の熱抵抗とは限りません。
Q:銅ベースは必ずアルミより放熱が良いですか?
A:銅はアルミより熱伝導が良いものの、標準的な銅ベースでも熱は同種の樹脂絶縁層を通ります。明確な差が出るのは、パッドを銅に直接つなぐ台座構造です。
Q:セラミックが必要になるのはどんな場合ですか?
A:高耐圧と熱集中が重なる場合や、ベアダイ実装で熱サイクル要求が厳しい場合です。
Q:銅台座構造の制約は何ですか?
A:放熱パッドがベースと同電位になるため、非接続か接地可能である必要があります。
Q:セラミック基板は大判にできますか?
A:サイズはセラミック板で制限され、外形はダイシングかレーザーです。長尺品は通常アルミを使います。
Q:選定はどう検証すればよいですか?
A:実際の構成で熱抵抗を測定し(ASTM D5470の方法など)、耐圧試験を行ってください。材料データシートの比較だけでは不十分です。
