外形以外にも、基板内部にはコネクタ用の窓、トランスコア用の穴、沿面距離を確保するスリットなどが設けられます。これらの多くはCNCルーターで回転するエンドミルを経路に沿って動かして加工します。刃物の断面が円であるため、加工形状には決まった規則があります。規則に合わない図面は、通常エンジニアリング確認で問い合わせになります。
本記事は基板内部のルーター加工形状のみを扱います。外形公差とVカットはPCB外形加工の公差を参照してください。
内角には必ずRが付く
刃物が輪郭をたどるとき、内角では刃先が円弧しか描けません。内角の最小Rは使用する刃物の半径と同じです。図面で90°の直角を描いても、仕上がりは丸くなります。
外角はこの制約を受けません。刃物が外側を回り込むため、角を鋭く残せます。
設計への影響:
- 角形の部品や角形端子を角穴に挿入すると、四隅のRに部品の角が当たります。
- 小径の刃物を使えばRは小さくなりますが、折れやすく送りも遅いため、すべての輪郭に適するわけではありません。
- 板厚が厚いほど、使える小径刃物の選択肢は一般に狭くなります。実際の刃径はエンジニアリング確認で決まります。
角形部品を入れる:ドッグボーン逃がし
部品の四隅を完全に収める必要がある場合は、ドッグボーン(またはTボーン)逃がしを使います。各内角の外側に小さな円を追加で加工し、部品の角をその円に逃がします。代わりに抜き穴の縁に4つの小さな切り欠きができるため、周囲の銅やパッドとの距離を確認する必要があります。
もう一つの方法は部品側の条件を見直すことです。部品に面取りがあれば、内角Rを許容するだけで足りる場合があります。
スリット幅は刃径で決まる
スリットは1本のエンドミルを中心線に沿って1回、または輪郭に沿って1周させて加工します。刃径より狭いスリットは作れません。さらに狭い場合はドリル穴を並べて仕上げることもありますが、縁が波打ちます。スリットの両端は半円で、角形にはなりません。
寸法は「幅×長さ」で指示し、長さが両端の半円を含む全長か中心間距離かを明記してください。読み方の違いで刃径1本分の差が出ます。
めっきスリットと非めっきスリット
- 非めっきスリット(NPTH):めっき後に加工します。壁面は基材のままで、寸法は刃物で直接決まります。
- めっきスリット(PTH):めっき前に加工し、その後に化学銅・電解めっきを行います。仕上がり幅は加工幅よりめっき厚の2倍分小さくなるため、公差は非めっきより広くなるのが一般的です。
製造公差ページでは Slots と Internal Cutouts をめっき・非めっき別に掲載しています。設計は仕上がり寸法で行ってください。
図面とガーバーの描き方
- 機構層には仕上がり輪郭を描く(刃物中心線ではない)。輪郭は閉じ、抜き穴と外形はレイヤーまたは線種で区別します。
- 許容できる最大内角Rを明記する。 直角を描いて「R可」と注記するより明確です。
- めっき有無を図面に記載する。 どのスリットがPTHでどれがNPTHかを、ドリルデータからの推測に任せないでください。
- 外形と同じ基準を使う。 抜き穴の位置はガイド穴または基板端から寸法を入れます。図面の公差指示も参照してください。
- 普通公差の出典を一つに決める。 IPC-2615 か ISO 2768 のどちらかとし、混在させないでください。
- 加工端から銅を離す。 加工端付近の銅は浮きや露出が起きやすく、内層は外層より大きな距離が必要です。
よくある問い合わせ理由
- 面取りのない部品用の角穴が直角で描かれ、逃がしもない。
- スリット幅が使用可能な刃径より小さい、またはスリット長の定義がない。
- PTHスリットにめっき指示がない、または機構層なしでドリルデータだけが支給されている。
- 抜き穴が外形と重なっている、または機構層の輪郭が閉じていない。
SKPCBの対応
SKPCBはエンジニアリング確認(EQ)で機構層の輪郭、内角R、スリット幅、めっき属性を確認し、ルーター加工形状に合わない場合は製造前に問い合わせます。外形・スリット・抜き穴の標準公差は製造公差、加工範囲全体は製造能力に掲載しています。特殊な抜き穴は機構図面を添えて見積依頼からご相談ください。
まとめ
内部のルーター加工形状は刃物で決まります。内角Rは刃物半径と同じ、スリット幅は刃径以上、めっきスリットは仕上がりが狭くなります。仕上がり輪郭を描き、最大内角Rとめっき有無を明記すれば、問い合わせを1回減らせます。
自己チェック
- 既存記事との重複:外形関連2記事は外形公差とVカット、公差指示記事は基板全体の図面指示を扱う。本記事は内部ルーター加工形状のみで、関連箇所は内部リンクで案内。
- 同日他スロット:slot 1は断面観察、slot 3は放熱基板選定。核心の問いとカバー画像が異なる。
- キーワード:「ルーター加工」「内角R」「スリット」をtitle・description・H1・本文に自然に配置。
- 事実:刃径、最小スリット幅、公差数値、設備、生産能力は記載なし。SKPCB情報は公差ページの項目名のみ。
- 内部リンク:
/ja/のリンク先5種(tolerance、capabilities、quote、ブログ2本)すべてout/ja/で確認済み。industriesリンクなし。 - FAQと本文の一致:6問すべて本文の節に対応。
- 日本語はネイティブ校閲が必要(REVIEW_REQUIRED)。
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FAQ
Q:本当の90°内角は加工できますか?
A:回転刃物ではできません。内角Rは少なくとも刃物半径になります。部品を完全に収める場合はドッグボーン逃がしを使います。
Q:最小の内角Rはいくつですか?
A:使用できる最小刃径によって決まり、刃径は板厚と材料に左右されます。図面に許容できる最大Rを記載し、エンジニアリング確認で可否を決めます。
Q:めっきスリットの公差が広いのはなぜですか?
A:めっき前に加工するため、壁面めっき厚のばらつきが仕上がり幅に加わるからです。
Q:スリット長はどう寸法指示すべきですか?
A:両端の半円を含む全長か中心間距離かを明記してください。読み方で刃径1本分の差が出ます。
Q:ガーバーに刃物中心線を描いてもよいですか?
A:推奨しません。機構層は仕上がり輪郭とし、刃物補正はメーカーのCAMで行います。
Q:加工端から銅をどれだけ離すべきですか?
A:製造公差ページの設計ヒントに従ってください。内層は外層より大きな距離が必要です。
