メタルベース基板の耐電圧試験:図面での規定方法と不合格の原因

設計ガイド2026-10-28SKPCB技術チーム
メタルベース基板の耐電圧試験:図面での規定方法と不合格の原因

メタルベース基板では、回路銅と金属ベースの間を薄い熱伝導性絶縁層 1 枚だけが隔てています。電源、LED ドライバ、モータ制御では、この層が安全上の絶縁を担うことが多く、図面に「耐電圧 ××× V」とだけ書かれることがよくあります。しかし電圧値 1 つでは、製造側は試験を実行できません。AC か DC か、何秒保持するか、どの漏れ電流で不合格か、どの 2 点間で測るか、全数か抜取りか。どれも決まっていないからです。

本記事は 2 点に答えます。耐電圧要求を試験条件にするには何を補えばよいか。どの製造工程が合否を左右するか。

先に 1 点だけ。通常の 100% 電気検査(フライングプローブまたは治具)は断線と短絡を調べるもので、耐電圧試験とは別の検査です。SKPCB は全注文に 100% 電気検査を行いますが、耐電圧試験の条件は注文時に別途指定が必要です。

耐電圧試験で何を見るか

耐電圧試験は、回路銅と金属ベースの間に使用電圧より高い電圧を印加して保持し、絶縁破壊や判定値を超える漏れ電流がないかを確認します。規定電圧で絶縁を保てるかを見る試験で、熱性能や導通は測りません。

電流の経路は 2 つあります。

経路発生箇所主な要因
絶縁層の貫通銅パターン直下絶縁層厚さ、ボイド、異物、銅バリ
沿面放電・気中閃絡基板端面、穴縁、V カット銅と端面の距離、外形加工バリ、露出金属

不合格の多くは絶縁層そのものではなく、端面や穴の金属がパターンに近すぎることが原因です。

図面に書くべき試験条件

項目記載内容未記載の場合
電圧種別AC または DC判定基準が異なり結果を比較できない
試験電圧値と根拠規格製造側が慣例で決めることになる
昇圧と保持時間昇圧方法、保持秒数時間が違えば合格率も違う
判定漏れ電流上限、または「破壊・閃絡なし」合否を判定できない
試験点高圧側に接続するネット、ベースは帰路側試験点の誤りは試験していないのと同じ
抜取り全数またはロット抜取り見積と納期を評価できない
前処理試験前の高温高湿・熱衝撃の有無出荷時合格でも市場で不良
記録試験記録の添付有無トレーサビリティがない

試験電圧と漏れ電流上限は最終製品の安全規格から決まり、設計側が指定します。製造側は条件どおりに実施・記録し、安全裕度は決めません。

試験点:どのネットをまとめるか

一般的には全回路ネットをまとめて高圧端子へ、金属ベースを帰路端子へ接続し、基板全体の銅–ベース間絶縁を一度に試験します。ベースと同電位にすべきネット(めっきスルーホールでアルミに接続した GND など)は試験から除外しなければなりません。除外しないと、印加した瞬間に短絡と判定されます。

そのため図面にはネット区分の注記が必要です。どのネットを試験し、どのネットがベースに接続されているか。この注記がないことが、耐電圧条項がエンジニアリング問合せ(EQ)で差し戻される最も多い理由です。

合否を左右する製造要因

絶縁層の厚さと均一性。 絶縁層が薄いほど熱は逃げやすく、耐電圧の余裕は小さくなります。これがメタルベース基板の基本的なトレードオフで、詳しくはアルミ基板絶縁層の熱と絶縁のトレードオフを参照してください。積層後の局所的な薄肉部、ボイド、異物はすべて破壊の起点になります。

銅バリとエッチング残り。 パターンの鋭い角や銅のひげは電界を集中させ、同じ電圧でも先に破壊します。

穴での金属露出。 金属ベースをそのまま貫通する穴は、穴壁にアルミや銅が露出し、めっきとベースの間に絶縁がありません。絶縁が必要な穴は、ベースに大径の下穴をあけて樹脂を充填し、樹脂内に再度穴あけするのが一般的です。図面ではどの穴が対象かを明示します。

端面バリと V カット。 打抜き、ルータ加工、V カットは端面に金属バリを残したり、ベース金属を絶縁層表面に引きずったりして、沿面距離を縮めます。アルミの加工限界はアルミ基板の製造と加工限界にまとめています。

銅と端面の距離。 端面に近いパターンほど端面沿いの閃絡が起きやすくなります。耐電圧要求が高いほど、設計段階で後退距離を確保する必要があります。

ベース材の選択。 アルミと銅では加工方法が異なり、端面と穴の処理も変わります。アルミベースと銅ベースの製造上の違いを参照してください。

出図前の確認リスト

  • 電圧種別、試験電圧、根拠規格
  • 昇圧方法、保持時間、漏れ電流上限
  • 試験対象ネット、ベース接続ネット
  • 全数か抜取りか、抜取り数
  • 高温高湿などの前処理の有無
  • 絶縁処理が必要な穴
  • 銅–端面、銅–穴の最小距離
  • 試験記録を添付するか

SKPCB のアルミ基板は最大長さ 1500 mm に対応します。基板が長いほど端面と V カットの総延長が増えるため、端面バリの管理は図面に明記してください。能力はメタルベース基板、品質体制は品質保証を参照し、資料がそろったら見積を依頼してください。

自己チェック

  • 既存記事との重複:絶縁層の熱トレードオフ、熱抵抗チェーン、メタルベース構造選択、アルミ加工限界は既存記事あり。本記事は耐電圧試験条件と不合格要因のみを扱い、関連箇所はリンクで参照。
  • 同日 SKPCB 01(多層工程フロー)、02(厚銅の銅形成ルート)とは別テーマ。PCB168 の当日 brief は未作成。
  • 事実:SKPCB の耐電圧能力数値は記載なし。PCB-ALU-LEN と Q-ETEST のみ引用し、電気検査は耐電圧試験ではないと明記。
  • 内部リンク:/ja/ リンク 6 件、すべて out/ja/ に存在。industries リンクなし。
  • FAQ と本文の整合:6 問すべて本文の節に対応。
  • REVIEW_REQUIRED:日本語ネイティブ校閲を推奨。

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FAQ

Q: 100% 電気検査で耐電圧試験の代わりになりますか?

A: なりません。電気検査は断線と短絡、耐電圧試験は回路銅と金属ベース間の絶縁を調べます。別々に指定してください。

Q: 試験電圧はいくつと書けばよいですか?

A: 最終製品の安全規格で決まる値を設計側が指定します。製造側が条件を確認できるよう、根拠規格も併記してください。

Q: AC と DC のどちらですか?

A: 安全規格の要求に従います。判定基準と漏れ電流の読みが異なるため、どちらか一方を図面に明記します。

Q: なぜ基板端面で破壊するのですか?

A: 多くは端面バリ、V カットでの金属の引きずり、または銅と端面の距離不足による沿面閃絡です。絶縁層自体は健全なことが多いです。

Q: ベースに接続した GND ネットはどう扱いますか?

A: 耐電圧試験から除外し、ネット区分の注記に明示します。除外しないと短絡と判定されます。

Q: 全数試験は必要ですか?

A: 製品の安全クラスと顧客要求によります。全数と抜取りでは見積と納期への影響が異なるため、注文時に指定してください。

この材料選定を量産視点で検証しますか?

高周波基材の選定はインピーダンスと損失を左右します。積層構成・Dk/Df・プレス条件を確認し、代替材もご提案します。