多層基板の製造工程:各工程で何が確定するか

設計ガイド2026-10-28SKPCB技術チーム
多層基板の製造工程:各工程で何が確定するか

多層基板の製造工程は、順番を入れ替えられる作業の集まりではありません。内層は積層プレスされた時点で二度と見えなくなり、穴はあけた時点で位置と径が決まります。設計データの各パラメータは、特定の工程で「使われ」、そこで確定します。この順序がわかれば、出図前に何を確定すべきか、どの不足が技術問い合わせ(EQ)として戻ってくるかが見えてきます。

SKPCB の通常の多層基板は最大 40 層です。層数が増えると工程の繰り返しは増えますが、基本の順序は変わりません。

工程一覧表

区分主な工程使う設計データ確定するもの後戻り
内層材料切断、内層パターン、エッチング、内層 AOI積層構成表、内層ガーバー、コア厚と銅厚内層回路、内層の銅分布AOI 後は不可
積層黒化(粗化)処理、レイアップ、プレス層順、プリプレグ品種、目標板厚絶縁層厚、層順、板厚の基礎不可
穴あけ機械ドリル(レーザー、バックドリル)ドリルデータ、穴径表、穴の種類穴位置、ドリル径不可
スルーホールめっきデスミア、無電解銅、パネルめっき穴銅の要求、アスペクト比穴壁銅の基礎不可
外層外層パターン、パターンめっき、エッチング、外層 AOI外層ガーバー、外層銅厚、線幅/間隔外層回路、最終銅厚不可
表面ソルダーレジスト、表面処理、シルクレジスト層、開口、表面処理種類、シルク層レジスト開口、はんだ付け面一部手直し可
仕上げ外形加工、電気検査、最終検査、梱包外形図、面付け図、ネットリスト、受入基準外形寸法、導通不可(外形)

最も重要なのは「後戻り」の列です。積層以降、ほぼすべての工程が前工程の結果を基板の中に封じ込めます。

内層:切断、パターン形成、エッチング、AOI

材料切断では積層構成表に合わせてコア材を選びます。コア厚と銅厚はここで決まり、後から交換できません。内層パターン形成で内層ガーバーを銅面に転写し、エッチングで不要な銅を除去します。内層の最小線幅/間隔は標準 4/4 mil です。

内層 AOI は、内層回路を直接見られる最後の機会です。積層後は内層の断線・短絡・欠けを電気検査で間接的に見つけるしかなく、修理もできません。判定の考え方は 内層 AOI は一方向の出荷判定 を参照してください。

積層:粗化処理、レイアップ、プレス

粗化処理で内層銅の表面を粗くし、プリプレグとの密着を高めます。レイアップではコア、プリプレグ、外層銅箔を指定の順に重ね、プレスで樹脂を流動・硬化させます。

積層で確定するのは、層順、絶縁層厚、板厚の基礎の三つです。絶縁層厚はインピーダンスを左右するため、インピーダンス目標は積層構成表に絶縁層と一緒に記載します。層間ずれもここで生じ、穴あけに引き継がれます。詳しくは 多層基板の積層位置合わせ を参照してください。

穴あけとスルーホールめっき

積層後のパネルにドリルデータどおり穴をあけます。ブラインド・ベリードビア構造では、レーザー加工や逐次積層が加わります。機械ドリルの最小径は標準 0.2 mm、0.15 mm は技術レビューが必要な高度能力です。

スルーホールめっきでは、まず穴壁のスミアを除去し、無電解銅で導電性を持たせ、電解めっきで厚くします。穴が深く細いほど中央まで銅が付きにくいため、スルーホールの最大アスペクト比は 10:1 で管理します。板厚と最小穴径は合わせて考える必要があります。詳細は 高多層基板の穴あけとアスペクト比 にあります。

外層:パターン形成、めっき、エッチング

外層パターン形成で外層ガーバーをパネルに転写し、パターンめっきで回路と穴壁を最終銅厚まで厚くし、エッチングで回路を仕上げます。外層の最小線幅/間隔は標準 4/4 mil です。外層銅が厚いほどサイドエッチが大きくなり、保てる最細線幅は太くなります。

外層の最終銅厚は「ベース銅+めっき銅」で、積層構成表の一つの数字ではありません。図面に「外層 1 oz」とだけあると、メーカーはベース銅か仕上がり銅かを確認する必要があります。めっき後の検査は PCB めっき品質検査と出荷判定 を参照してください。

ソルダーレジスト、表面処理、シルク

ソルダーレジストは回路を覆い、パッドを露出させます。表面処理(ENIG、HASL、OSP など)は露出した銅を保護し、はんだ付け性を決めます。シルクは部品番号や識別表示を印刷します。この区分は局所的な手直しが可能な数少ない工程ですが、外観と信頼性に影響するため、設計上の余裕とみなすべきではありません。

外形加工、電気検査、最終検査

外形加工ではルーター、V カット、打ち抜きで外形を仕上げ、面付けがここで形になります。SKPCB は全注文の 100% をネットリストに基づき、フライングプローブまたは専用治具で電気検査します。方式の選び方は フライングプローブと治具検査の比較 を参照してください。最終検査後に出荷し、原材料から完成品まで QR コードでトレースできます。

出図前に確定すべき情報

  • 積層構成表:層順、コアとプリプレグの厚さ、各層の銅厚(ベース銅か仕上がり銅かを明記)
  • 目標板厚と公差(SKPCB の板厚範囲は 0.2〜6.0 mm)
  • インピーダンス目標、リファレンス層、線幅
  • ドリルデータと穴径表:仕上がり穴径、穴の種類(PTH/NPTH/ブラインド/ベリード/バックドリル)
  • 内層・外層ガーバー、レジスト開口、表面処理の種類
  • 外形図、面付け要求、基準
  • ネットリストと受入基準

どれか一つでも欠けると、メーカーは該当工程の手前で止まり、EQ を出すことになります。対応範囲は 多層基板の製品ページ で確認でき、資料が揃ったら 見積もりページ から送付できます。

まとめ

多層基板の工程の原則は単純です。積層以降、ほぼすべての工程は後戻りできません。内層は AOI の後に見えなくなり、絶縁層はプレスで、穴は穴あけで、銅厚はめっきで確定します。設計データがどれだけ揃っているかで、工程が一度で流れるか、どこかで回答待ちになるかが決まります。

自己チェック

  • 既存記事との重複:樹脂流動、位置合わせ、内層 AOI、アスペクト比、めっき出荷判定、層数・積層構成の判断はそれぞれ既存記事。本記事は工程全体の一覧と後戻り不可ポイントの整理で、各区分は結論一文と内部リンクのみ。
  • 同日の PCB168:brief 未作成。本記事は製造工程の解説であり、RFQ・調達チェックリストではない。
  • キーワード:「多層基板」「製造工程」「積層」「穴あけ」が title、description、H1、本文に自然に出現。詰め込みなし。
  • 事実:数値は CLAIM_REGISTER の verified 項目のみ。工程時間、設備メーカー、歩留まり、価格、納期、顧客事例なし。
  • 内部リンク:/ja/ リンク 7 本、すべて out/ja/ で存在確認済み。industries へのリンクなし。
  • FAQ と本文の一致:6 問すべて本文の論点に対応。
  • 日本語はネイティブ審校が必要(REVIEW_REQUIRED)。

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FAQ

Q:なぜ内層を先に加工してから積層するのですか?

A:積層すると内層回路は基板の内部に封じ込められます。パターン形成、エッチング、AOI は積層前に終える必要があり、積層後は加工も修理もできません。

Q:どの工程の後なら設計を変更できなくなりますか?

A:厳密には内層エッチングからです。設計への影響が最も大きいのは、積層(層順と絶縁層厚)と穴あけ(穴位置と穴径)です。

Q:インピーダンスはどこで決まりますか?

A:絶縁層厚は積層で、線幅はエッチングで決まり、両者でインピーダンスが決まります。目標値は積層構成表と一緒に提出してください。

Q:図面に「外層銅 1 oz」と書けば十分ですか?

A:それだけでは不十分です。外層銅はベース銅とめっき銅の合計です。どちらの値かを明記しないと EQ になります。

Q:SKPCB は何層まで製造できますか?

A:通常の多層基板は最大 40 層です。スルーホールの最大アスペクト比は 10:1、機械ドリルの最小径は標準 0.2 mm です。

Q:すべての基板を電気検査しますか?

A:はい。SKPCB は全注文の 100% を、ネットリストに基づきフライングプローブまたは治具で検査します。

この積層構成とHDI工程を確認しませんか?

層数・ブラインド/ベリードビア・インピーダンス制御は歩留まりとコストを大きく左右します。積層図をお送りいただければDFM所見と最適化案をご返信します。