高周波基板の層構成、基材、銅箔が決まった後も、外層の2つの工程がRF配線に直接作用します。ソルダーレジストと表面処理です。マイクロストリップは半分が誘電体、半分が空気の中にあるため、線の上に何が載り、導体表面に何がめっきされているかが、インピーダンスと損失に入ってきます。一般基板でははんだ付け性と外観の問題ですが、高周波基板では電気的パラメータになります。
基材の選び方は 高周波基板の材料選定、銅箔粗さは 銅箔粗さと挿入損失 を参照してください。本記事は外層の被覆と表面処理のみを扱います。
外層の3つの状態
| 外層の状態 | 変わる量 | 製造上のばらつき要因 | 図面に書くべき事項 |
|---|---|---|---|
| レジストで覆う | 線の上に誘電体が加わり、実効誘電率が上がり、インピーダンスが下がり、誘電損失が増える | 線の上面と側面でレジスト厚が異なる;ロット間でばらつく | 覆うか否か;シミュレーションにレジストを含むか |
| レジスト開口 | 線の上は空気で、シミュレーション上の理想に近い | 開口端のレジストと銅の位置ずれ;露出銅に表面処理が必要 | 開口範囲と端部クリアランス |
| 開口+表面処理 | 高周波電流が集中する導体最外層が別の金属になる | めっき厚と均一性 | 表面処理の種類;エリア分けの有無 |
レジスト被覆:管理されない誘電体が一層増える
ソルダーレジストはRF材料ではありません。誘電率と誘電正接は通常RF周波数で規定されておらず、塗布厚にも基材のような公差等級がありません。マイクロストリップ上では厚さが不均一な層になり、線の上面は薄く、線間の低い部分は厚くなります。
その結果、インピーダンスは裸線のシミュレーション値より低く、損失は高くなり、ずれ量はロットごとの塗布厚で変動します。シミュレーションでレジストをモデル化し、テストクーポンも同じく覆っていれば制御は可能です。裸線でシミュレーションし、全面をレジストで覆うと、受入検査で差が現れます。
開口:端部クリアランスと銅の保護は別の問題
開口したRF線の上は空気で、モデルに最も近くなります。製造側では2点の対応が必要です。
- 開口端:レジストと銅のパターンには位置ずれがあり、クリアランスがないとレジスト端が配線端にかかります。「RF線はレジストなし」と注記するだけでなく、レジストデータで開口範囲を示してください。
- 銅の保護:開口した銅は表面処理がないと酸化します。表面処理がそのままRF導体の外表面になります。
表面処理:導体表面が別の金属になる
周波数が高いほど、電流は導体表面の薄い層に集中します。表面処理はまさにその層にあるため、一般のパッドより開口RF線への影響が大きくなります。
- ENIG(無電解ニッケル金):ニッケルは銅より導電性が低く、強磁性体です。ニッケル層を流れる電流で損失が増え、高周波ほど顕著です。管理は ENIGニッケル金厚とブラックパッド対策 を参照。
- 無電解銀:導電性がよく、導体損失への影響は小さい。ただし硫化変色しやすく、梱包・保管・実装期限の管理が重要です。
- OSP:有機皮膜で銅そのものは変わらず、損失への影響は最小。はんだ付け可能な保管期間が短く、リフロー回数に制限があります。
- 無電解錫/HASL:HASLは平坦性が不足し、微細なRF構造には不向き。無電解錫は保管期間に注意。
- 硬質金:接点や挿抜面用で、通常はRF配線の全面処理には使いません。
一般的な比較は PCB表面処理の比較 を参照。SKPCBはHASL、ENIG、OSP、無電解銀/錫、硬質金に対応します。1枚の基板で2種類の表面処理(例:RF部はOSP、パッド部はENIG)を行う場合は工程が増えるため、見積段階で技術審査が必要です。
インピーダンスクーポンはRF線と同じ状態に
テストクーポンの外層状態は実際のRF線と一致させます。RF線が開口ならクーポンも開口、レジストで覆うならクーポンも覆い、表面処理も同じにします。そうでなければクーポンの合格は配線の合格を意味しません。インピーダンステストクーポンの検証 を参照。SKPCBのインピーダンス公差は標準±10%、±5%は要相談(技術審査)です。インピーダンス制御基板 を参照。
図面チェックリスト
- レジストデータでRF開口を独立したエリアとして示し、端部クリアランスを指定する;
- シミュレーションにレジストを含むか、クーポンのレジスト状態を明記する;
- 表面処理の種類を指定し、エリア分けする場合はエリア層を提供する;
- インピーダンス目標、公差、クーポン位置、外層状態を1つの注記にまとめる;
- 代替表面処理の可能性があれば、可否と承認者を明記する。
まとめ
高周波基板のソルダーレジストと表面処理は外観上の選択肢ではなく、RF配線の一部です。被覆の有無が線上の誘電体を、表面処理が導体外表面の金属を決めます。両者とクーポン状態を図面に書くことで、完成基板でインピーダンスと損失を検証できます。材料と対応範囲は 高周波基板、図面の審査依頼は 見積ページ からどうぞ。
自己チェック
- 既存記事:材料選定、銅箔粗さ、PTFE積層、穴あけ/プラズマ、ローンチ遷移、材料代替、工程管理は既出。本記事は外層レジスト/開口×表面処理×RF配線のみを扱い、関連記事は1行リンク。
- 同日:slot 1 は4層構成、slot 3 はPTH/NPTH で重複なし。
- キーワード:「高周波基板」「ソルダーレジスト」「表面処理」「RF配線」を自然に配置、詰め込みなし。
- 事実:±10%/±5%(PCB-IMPEDANCE)とMAT-RFのみ。損失影響は定性的。dB、Dk/Df、厚み、価格、納期、歩留まり、事例なし。
- 内部リンク:
/ja/リンク8件、すべてout/ja/に存在。industries リンクなし。 - FAQと本文の一致:6問すべて本文に対応。
- 日本語ネイティブ校閲:未実施(REVIEW_REQUIRED)。
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FAQ
Q:RF配線にソルダーレジストを載せてはいけませんか?
A:いいえ。シミュレーションでレジストをモデル化し、クーポンも同じ状態であれば制御できます。ただしレジスト厚と誘電特性のばらつきが大きいため、損失や位相整合に敏感な線は通常開口します。
Q:開口した後、なぜ表面処理が必要ですか?
A:露出銅は酸化し、はんだ付け性と長期安定性を損ないます。表面処理で保護し、その層がRF導体の外表面になります。
Q:ENIGはなぜ高周波損失を増やすのですか?
A:高周波電流は導体表面に集中します。ENIGのニッケル層は銅より導電性が低く強磁性体のため、そこを流れる電流で損失が増えます。
Q:RF部とパッド部で別の表面処理にできますか?
A:選択的表面処理は可能ですが、工程と位置合わせ要件が増えます。見積時にエリア層を提出し、技術審査を受けてください。
Q:インピーダンスクーポンは開口すべきですか?
A:レジストと表面処理の両方でRF線と同じ外層状態にしてください。そうでなければ結果は配線を代表しません。
Q:SKPCBの高周波基板材料は?
A:Rogers 4350B/4003C/3003、Arlon 85N、Taconic RF-35です。高周波基板ページを参照してください。
